
【旅行記】踊り場で立ち止まる【岡山県・宇野港】
“才能”があるので、部屋に戻った3分間で鍵を見失い、乗船口を間違え、結果的に船を逃すことができます。しかし、自分の“才能”を信じて集合の一本早い船を予定に入れていたので、行きたかったミュージアムを次回のかんのさんに託すことで、安心して港周辺の観光に切り替えることができました。※鍵は洗面台にあり、問題なく宿のチェックアウトを終えています。
宇野港は宇野駅のすぐそばにありました。観光客として行くと、全ての「ようこそ」「またお越しください」が自分に向いて書いてあります。
近くに自殺防止のポスターが貼ってあり、この土地にも防止されるくらい死が身近なのだと思いました。「白い肉冷やされていてつややかなライチのくににも自殺する人(鳥さんの瞼『死のやわらかい』)」を想起しました。瀬戸内海に接する宇野港は、島ではありませんが南の島の気配があります。アートとして整備された駅舎、賑やかに装飾された駅から港までのまちなみはバカンスの明るさです。観光客として明るいところだけを歩いていくと表層だけを見て「たのしかったね~」と帰ることになりますが、その土地に住む人にはそれぞれの暮らしがあり、浮かれた観光客たる僕らが帰った後も生活は続きます。
港近くの書店で文庫とレターセットを買いました。他に見ておくと面白い場所を聞くと、朝早かったこともあって、店員さんは困ったように港の近くのアート作品を勧めてくれました。少し歩くと商店街があるけれど、お店は閉まっていっているらしいです。
割引券をもらいました。有効期限がないらしいので次回来るときに忘れずに持ってこようと思います。ミュージアムのリベンジだけでなく、宿でもとても良くしてもらって、もうすでに再訪したくなっています。
“正しい”のりばで乗船券を購入し、窓口の方に「今回は間違えずに来られました」と言いました。待合室で待っていたら人々が動きだしたので着いていって船の前に来ました。立ち止まってふと見上げると、別の路線の船でした。一つの港に乗船口が二つあり、一つの乗船口から二つの島へ行く航路が出ています。二択の度に間違えましたが、なんとか“正しい”船に乗りました。
出港。何の合図もなく、ぬるっと船が動き出したかと思ったら軽快な音楽がかかりました。行先と「ご乗船のお間違いのないように」のアナウンスが入ったのですが、窓にはもうすでに港を離れ後方へ流れる海が見えています。僕が万が一行先を間違えていたら船を戻らせることになるのでしょうか。間違えなくて良かったです。耳鳴りのような振動が止み、おだやかな航海がはじまりました。船のゆれは全く感じませんでした。
船はこじんまりとしていて、階段の踊り場のような甲板がありました。踊り場は、安全や配置調整のための機能だけでなく、どこかからどこかへ行く途中にふと足をとめられる場所でもあります。僕は今回は小豆島へ向かうために宇野港へ来ました。踊り場のような立ち寄り方でした。
ぽこぽこと島が見えていました。膝の上にノートを置いて、幼なじみへ実況のような走り書きの手紙を書きました。一時間ほどで小豆島へつきます。